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脳卒中、脳血管性痴呆症に対する再生医療技術を用いた治療法の開発

国立循環器病センター研究所循環動態機能部脳循環研究室室長 田口明彦 (文献)

脳卒中、脳血管性痴呆症に対する再生医療技術を用いた治療法の開発

現在わが国においては、他の諸国においては類を見ないほどの急速な高齢化社会を迎えており、脳梗塞後遺症や血管性痴呆症に起因する要介護の急激な増加が、日本の社会構造を根底から揺るがす極めて深刻な社会問題となっています。

しかし、脳梗塞に対する有効な治療法は発症後数時間以内の血栓溶解療法以外になく、脳血管性痴呆症に対しては全く有効な治療手段がありません。これらの疾患に対し、神経幹細胞を用いた治療法の研究が盛んに行われてきましたが、移植した神経幹細胞が生着しない、あるいは必要とされる神経細胞に分化しない等の理由で、動物実験レベルにおいても移植神経幹細胞が神経ネットワークを形成する成熟した神経細胞として機能されることが困難であると考えられてきました。

私達は胎児期あるいは生体(SongBird等)において、神経発制神経再生およびそれに引き続いて起こる神経の分化、成熟は必ず血管新生あるいは血管再生と同時に起こっていることに注目し、脳梗塞後の血管再生と神経再生の関連についての研究を続けてきました。その結果、脳梗塞後の血管再生が神経再生を促進するだけでなく神経幹細胞の生着や分化、成熟にも必須であることを世界に先駆けて証明しました。(i.Clin.lnvest.2004;114:330-338)。

また、四肢虚血性循環障害の患者に対しては、血管血球幹細胞を含む自己骨髄単核球細胞を使った血管血球系幹細胞は脳においても血管再生や既存血管の維持に重要な働きを持っていること、および末梢血中に存在する血管血球幹細胞の減少が脳代謝の低下にも関連していることを、明らかにしてきました(Circulati0n2004;109:2972-2975)。

私達は、これらの知見を基に、単なる神経細胞再生ではなく、脳卒中や脳血管性痴呆症患者さんの脳機能の再生を目的とした研究を進めています。