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患者自身の幹細胞を血管に注射して脳血管組織を再生

国立循環器病センター研究所循環動態機能部脳循環研究室室長 田口明彦 (文献)

患者自身の幹細胞を血管に注射して脳血管組織を再生、
重症脳梗塞後遺症治療の臨床試験を国立循環器病センターが開始

骨髄中の幹細胞を注射して脳の血管を再生させ、組織の再生を促すことで脳梗塞(梗塞)による後遺症の治療を目指す臨床試験を、大阪府吹田市の国立循環器病研究センターが2007年内にも始める。

重い後遺症が残る重症患者を対象とし、治療効果の検証を目指す幹細胞治療は国内初となる、すでに国の承認を得ており、センター内の最終調整を進めている。

同センターの成富博章部長(脳内科)を統括責任者とする臨床試験は、心臓にできた血栓が血流で移動して脳の血管を詰まらせる、心原性脳梗塞の重症患者を対象とする、長島茂雄・元巨人監督も発症した病気だ、20~75歳で、入院から7日の間に改善がほとんど見られない患者12人に対し、本人か家族の同意を得て実施する。発症後7~10日の間に腰の骨から骨髄を採取、その日のうちに、骨髄単核球細胞を分離して注射する。1ヵ月後に、臨床試験を直接担当しない部署が安全性や効果を評価する。

骨髄採取を発症後7~10日としたのは、マウスの実験や人間の研究で、この時期に神経幹細胞が損傷部位に集まるとわかったため、こうした幹細胞は血管がないと死んでしまう、骨髄単核球細胞には血管再生を促す働きがあるので、それによって神経幹細胞がうまく定着すれば、症状の改善が見込めるという。

同センター研究所の田口明彦・脳循環研究室長は「脳出血が一番こわい副作用だが、骨髄に元々ある細胞を使うだけに安全性は高い」と話す。

幹細胞を使った臨床試験に関しては、安全性チェックに関する国の指針が策定され、2006年9月に施行された。今回の計画は、指針に基づき、国の審査委員会を経て認められた大阪大学など最初の4例のうちの1例だ。