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再生医療の現状と将来展望

国立循環器病センター研究所循環動態機能部脳循環研究室室長 田口明彦
座長 桂 研一郎 准教授(本学・内科学・(神経・腎臓・膠原病リウマチ部門)
日本医科大学医学会 第18回公開シンポジウム 主題「再生医療の現状と将来展望」から転載

「骨髄細胞を用いた脳血管障害に対する治療法の開発」

現在我が国においては、急速な高齢化社会を迎えており、それに伴う要介護者の急速な増加は極めて深刻な社会問題である。特に高齢者要介護者発生原因の約半数が脳血管障害など中核神経障害であり、これらの疾患に対する有効な治療法の開発は緊急の課題であり、神経系幹細胞を用いた様々な研究においては、単なる神経幹細胞移植では治療効果が不十分であることが米国における臨床試験などにおいても明らかにされつつあるが、血管を介した組織修復作用を有する自己骨髄単核球細胞を用いた心筋梗塞患者を対象とした臨床試験ではその治療効果が報告されると共に、他の虚血性疾患への適応の拡大が示唆されている。

我々は、①難治性虚血性であるBuerger病患者に対する自己骨髄単核球移植および患者会の支援、活動協力などを通じて、自己骨髄単核球移植と組織修復に関する臨床知見の蓄積を続けるとともに、②脳梗塞患者における末梢血の解析においては、末梢血中骨髄球系幹細胞の減少が脳梗塞の発症や脳循環代謝の低下、認知機能の経時的な悪化と関連していること、および ③脳梗塞後の骨髄単核球細胞投与に関する基礎的検討では、脳梗塞亜急性期における骨髄単核球移植の有効性を明らかにすると共に、④霊長類自己塞栓脳梗塞モデルにおいてもその安全性の確認を行ってきた。

これらの知見を背景に“ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針”に基づき平成19年10月に厚生労働省の承認を得、〝急性期心原性脳塞栓症患者に対する自己骨髄単核球静脈内投与に関する臨床研究〟を開始している、さらにこれらの知見をより効果的な治療法として発展させるため、中核神経障害部位における血管網の再構築と共に神経幹細胞の誘導や移植に関する知見の収集を行い、中核神経機能障害患者に対する全く新しい治療法の確立に向けた研究を進めるとともに、血管血球系幹細胞を用いた血管障害予防を目的とした発展的な研究を行っている。